50℃、12時間で干し芋(ほしいも)を作製し、製品の一般生菌数を検査したところ、600万/gあったとのお問い合わせをいただきました。これでは販売できませんね。
ズバリ、解決策について述べさせていただきます。
まず、バクテリアは食材に最初に付着しているために増殖いたします。お刺身などは怖いですね!干し芋は製品にすると、消費者がどのような扱いをするか分からないので、十分に注意しましょう。もちろん、保管温度や賞味期限を明記しましょう。とはいっても、最善を尽くして販売したいものです。以前、辛子レンコン製品で、酸素が嫌いなボツリヌス菌が内部で増殖し、それをたべた人がなくなった例もあります。沼には様々なバクテリアがありますし、それをカットした時に表面のバクテリアが全体に広がります。肉も同じで、表面は非常に汚いです。気をつけましょう。
ところで芋に戻ります。芋は蒸したり焼いたりした後は殺菌されていますが、短冊状に切るためのナイフ、まな板、一時的に置く棚などにバクテリアが付着していると、これが芋の表面で乾燥までの間に増殖します。バクテリアは50℃でも増殖しにくいですが、ゆっくりと増殖可能で、死滅はしません。したがっ干し芋として販売する場合には、芋のように切断した場合には高めの温度で乾燥することが望まれます。表面がある程度乾くと温度を下げることができます。
販売用に密封する場合は、袋の中に乾燥剤や脱酸素剤(必須ではない)をいれ、80℃で30分〜1時間程度の処理を行えば、生きたバクテリアは少なくなると思います。カビも生えにくくなります。
カビやバクテリアは水分が多いところで増殖します。高度に乾燥しているものの表面では増殖できません。したがって、芋の切断面がある程度乾燥するまではの間、高めの温度で一度処理をし、その後に低めの温度に戻してじっくり乾燥させると良いと思われます。製品化するのであれば、一度、乾燥機で乾燥後にオーブンで120℃で数分間処理して殺菌するとより安全です。
袋にいれて密封する場合は、乾燥剤がないと気温の差により袋内部に水分が凝結したりします。乾燥剤はこれを除去できます。乾燥した芋は内部の方が水分が多く、これが時間が経つと全体に均一に回り、その時に芋の表面が想定よりも湿ってしまう可能性があり、ここでバクテリアが繁殖でき、大変危険です。乾燥機での乾燥の場合は注意が必要です。天日干しは紫外線殺菌も行われますし、均一な乾燥状態になっていますが、乾燥機での短時間乾燥では、芋スライスの厚みにもよりますが、内部の水分が多い可能性があります。スライスの厚みは重要です。
以下のポイントをまとめます。
1)(必須)芋を切るときは清潔な器具を使用する。
2)(必須)乾燥用のトレーに切断した芋を並べるとき、不潔な素手で取り扱わない。
3)(必須)最初に使用する乾燥機の最大温度(60〜75℃)で芋表面をある程度乾燥させ(〜1時間程度:状況により調整)、バクテリアが繁殖しにくい状態にする。
4)(任意)できた乾燥芋は120℃程度のオーブンで数分熱処理する。(焦がすと焼き芋になってしまいます)。・
5)(必須)袋に適当量の乾燥剤(必須or任意)と、脱酸素剤(任意)を入れる。
6)(任意)可能であれば、密封した袋ごと80℃に加熱し、最終商品のバクテリアの不活性化を行う。
以上でこの問題は解決するはずです。理論的には(^^;