細胞を壊して旨味成分を作り出す方法 〜 食品乾燥機.com

緑茶や鰹節は元来の成分が変化して旨味が出る事は別のコラムでもお話しました。細胞の中には中性、酸性、アルカリ性のいずれかでしか酵素反応が起きない酵素、またはいずれのpH(酸性とアルカリ性を示す数値:ペーハーと読む)でも反応が起きる酵素があります。

細胞には数千種類の酵素があり、これが生命の仕組みを支えています。何をするにも細胞内では酵素が働いています。これらの多くはタンパク質分子でできています。卵に熱をかけると白身に変化するように、熱によって変性して失活します。これは通常のタンパク質と全く同じです。温泉に住む熱耐性バクテリアなどには、酵素が働く至適温度が60℃などの物もあります。遺伝子増幅(PCR)に使う酵素は100℃でもしばらく安定です。

この様な生物の細胞内にある酵素なので、一般によくいう「酵素は飲むと健康に良いらしい」などの意味は、生物学者には全く意味不明な言葉です。植物は細胞が壊れると細胞内から酵素が出てきて、細胞を構成するタンパク質、核酸(DNA,RNA)、脂質を分解し、生きた細胞内にはなかった成分を作り出します。この成分同士がまた非酵素的化学反応を起こして別のものにも変化し、ある時は旨味成分も作ります。

新鮮は肉や野菜を瞬間凍結すると、細胞内の酵素は働く時間もなく、味は生の時と変わりません。しかし、肉は熟成で細胞が壊れて酵素が働き出したり、野菜を乾燥すると野菜はしなびてきて、高温で細胞内成分が分解され、生の時にはなかった物質が作り出されます。

独自の条件で独自の味を出したい時には食品乾燥機で、新鮮な時の味を保ったまま乾燥させる場合には真空凍結乾燥法(フリーズドライ法)が推奨されます。

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カリカリ

食品乾燥に携わってはや9年。数十年に渡るバイオ研究の経験も活かしたご紹介をしたいと思います。