食品を乾燥する場合の設定温度は?(細菌繁殖の面から) | 食品乾燥機.com

今回は、食品の乾燥温度について述べたいと思います。

先ず、乾燥野菜、ドライフルーツやビーフジャーキーを自分で作ってみたいと思った時、食品乾燥機の存在に気付かされますよね。食品乾燥機は別名でドライフルーツメーカー、しいたけ乾燥機やフードドライヤーなどと呼ばれています。例えば、Googleで検索するとAmaoznや楽天、自社サイトなどで販売されている商品の画像が表示され、検索上位にある安価な乾燥機の画像を先ずはクリックする方が多いのではないかと思います。値段が安かったらそのまま購入、なんて、衝動買したく成るものです。しかし、後で後悔しないように、用途などをしっかり決めてから、じっくりと機種を選びたいものです。

先ず、業務用の食品乾燥機と廉価版で使用がどのように異なるのか、簡単に述べたいと思います。このサイトは、用途や予算にあった乾燥機を選ぶ際の中立的な参考情報となる事を目的で作成していますので、偏った表現は極力避け、中立的なアドバイスができればと考えています。

国内の食品乾燥機市場は、椎茸の乾燥機が重要な起点となっています。大量生産化されるにつれ、広天日干し用の土地もいらず、天候にも左右されない乾燥が求められていたためです。椎茸などのキノコは意外と水分が多いのです。そこで重要視された事は、「本来のしいたけの形を残したまま乾燥したい」との要望です。そこで重要になるのが乾燥温度と時間です。

【食品乾燥機を選ぶ場合の最高設定温度について】

〜保存の事を考えると65℃までは上げたい〜

市販の乾燥機の最高設定温度は75℃〜90℃程度と思われます。電動ファンへの熱伝導負荷もあるため、高温中で電動ファンを回すためには一工夫が必要となります。また、プラスチック製の廉価な食品乾燥機では、筐体の強度劣化や火災事故防止の観点から、やたらと最高温度を上げることはできません。これが業務用となると筐体が金属製ですので電気乾燥機では75℃、ガス乾燥機ではそれ以上に設定できる食品乾燥機があります。ガス乾燥機は古くから椎茸乾燥に使用されています。電気よりガスの方が燃料コストは安いと思います。しかし、排気を室外にしたところで室内設置だと夏場はたまりません。

フルーツやジャーキーの乾燥では通常、70℃以上の必要はないと思います。しかしながら、製品として販売する場合には最後の仕上げに70℃には暴露させたいものです。製品として売る場合にはカビや細菌の繁殖は脱酸素剤やシリカゲルで防止できますが、「開封後は早めにお召し上がり下さい」など、開封後の賞味期限の表示は重要と思います。70〜80℃の仕上げ乾燥をしておくと、多くのカビやバクテリアはこの高温で不活性化されます。(一般製品の場合、密封シール後に袋ごと80℃にして殺菌する事が多いです。これでも一部の熱耐性細菌や芽胞状態の酵母は死にません。) 乾燥最高温度を50℃くらいで完了した製品はカビやバクテリアも死滅しませんので、保管時のカビには十分に気をつけて下さい。長期保存ではシリカゲルは必須です。

ということで、製品として販売したり、カビも予防したいのであれば、最高設定温度は70℃以上がおすすめです。廉価品では温風が庫内を循環しないので、空気中のカビ胞子もそのまま製品に付着し、なおかつ温度もあまり上がらないのでカビやすくなります。

今回は、食品乾燥とカビや細菌の繁殖について述べてみました。

 

 

カリカリ
食品乾燥に携わってはや9年。数十年に渡るバイオ研究の経験も活かしたご紹介をしたいと思います。

9 thoughts on “食品を乾燥する場合の設定温度は?(細菌繁殖の面から) | 食品乾燥機.com

  1. とても参考になりました。

    ご教授ください。
    我が家では牛肉のスライス(3mm程)を温風乾燥にて設定温度60℃x6時間、その後45℃x3時間かけて調理しています。
    目に見えるカビはありませんが、正直不安になる時もあります。(冷蔵庫保存)
    ギリギリの設定温度にしているのは、本来の牛肉の食感と旨味を感じやすい温度が60℃かなと思っています。
    今より安全面で、温度/時間を上げる必要があればアドバイスいただけば幸いです。
    また、カビが生えた場合破棄した方が良いのでしょうか?
    宜しくお願い致します。

    1. 最近、サイトメンテナンスができておらず、誠に申し訳ございませんでした。改めて回答させていただきます。
      カビにはそもそも悪いものと良いものとがあります。青カビには発がん性毒素もありますが、これが変異して毒性がなくなったものにコウジカビがあります。そもそも毒性がなくなれば、カビは自分のサバイバルのために、生えている箇所に根っこのような菌糸を伸ばし、そこから栄養を吸収します。そもそもかびが生着するには、その場所から栄養を取る必要があり、タンパク質などの場合には分解する必要があります。バクテリアが分解すると腐敗臭がしますが、カビの場合には肉のタンパク質と細胞核成分も分解し、この両者から旨味成分を作り出します。カビにとって旨味成分は単なる副産物です。
      カビと言っても一概に良し悪しは語れませんが、見分けがつかないのが問題です。白カビにもいろいろあります。本格的精肉をおこなっている肉屋は冷所で故意にカビを生やしています。カツオ節も、カビを生やして寝かせると旨味成分が出てきて、このような鰹節は高級なものです。肉屋の冷所や鰹節熟成場所にはすでに食用に適したカビ胞子が豊富に飛んでいるため、肉を入れただけでそのカビが優先的に生えます。これによって、毒性があるカビなどは生えたとしてもマイナーであり、殆どはその倉庫に住み着いているカビに支配されます。一般的に自然に生えたカビは毒性があると考えたほうが安全です。たとえば、カビが生きている鰹節を買ってきて、それを一緒に冷所に肉を入れて生えたカビは、その鰹節のカビとおもわれますので、安全な可能性が高いです。カビには肝がんなどを発生させる成分をもっている物があるため、専門書を参照せずに食べてしまうことは避けたほうがよいと思います。ただ、カビを利用して肉もカツオも旨味成分を増やすために熟成させていることはご承知おきください。私もこのカビにつては更に調べておきたいと思います。少しでも参考になりましたら幸いです。

    2. 書き忘れたことがあります。温度についてです。
      バクテリアの殆ど摂氏80度以上の高温では繁殖できません。食品安全の観点からは摂氏80度以上が推奨されます。この温度では殺菌にはなっていないため、温度を下げると多くのバクテリアは眠りから覚めて、また繁殖します。しかし、一旦ある程度乾燥させると、水分が増殖に必要なバクテリアは増殖ができません。したがって、私の場合、まずは高温である一定時間で表面を乾燥させてから、中身までの乾燥を70度で行います。60度以下の温度は、動物用ジャーキーを除いではあまり使いたくないのが正直なところです。製品化を考えると、最終的に食中毒菌も含めて検査しないと売るのは怖いです。肉を薄く切る場合には肉表面で繁殖したバクテリアがすべてのスライスについてしまうため、これを短時間で殺菌したいところです。例えば、100度で数十秒の時間で短時間殺菌処理を行うなどです。
      ご参考になりましたら幸いです。

  2. 初めてまして。
    質問です。
    ドライフルーツを、販売用に作りたいのですが
    53℃で、12時間以上の乾燥を考えてます。
    カビや、バイ菌予防のため最終には、どのぐらいでどの程度の、時間と、温度が、必要でしょうか?
    よろしくお願いいたします。

    1. こんにちは。ご質問ありがとうございます。腐敗などの原因にはカビも重要ですが、酵母などの熱耐性のバクテリアの存在も無視できません。
      カビだけを考えても、胞子の状態では熱耐性が高く、その種類も多くて、低温殺菌でカビを100%死滅させる保証もないため、一般的にはシリカゲルと脱酸素剤を用いています。
      カビやバクテリアは乾燥状態であれば繁殖できませんので、シリカゲルは有効ですが、厚みのある食材を乾燥させた場合、内部の乾燥が弱いため、その水分が保管中に表にもしみてきます。最初は表面がカリカリでも、だんだんと柔らかくなります。逆に乾燥させすぎると食感が悪くなるものについては、大きな乾燥剤を入れるわけにもいかないかと思います。乾燥食材がわからないままの情報のご提供も不安ですが、カビ糸バクテリア繁殖を抑えるためには温度だけで言うと、食材の温度浸透性(厚み)のファクターもありますが、80℃で20〜30分は処理したいのですね。温度をかけられない環境においては、脱酸素剤、シリカゲルに頼りたいところです。シリカゲルは商品がお客様のもとに届いた後も有効である必要がありますが、例えば干し芋などですと内部に水分が残っていて、シリカゲルによるさらなる乾燥では食感も変化してしまうので、脱酸素材をお勧めします。53℃が最高温度とすると、熱に強いカビも心配です。ある程度の乾燥状態で、さらに酸素がないと、カビやバクテリアのほとんどは繁殖できません。脱酸素剤は有効です。乾燥物の真空パックも、酸素がないのでカビには有効です。バクテリアの一部は酸素がない事を好むものもいるので、水分を含む肉などは真空パックで安心するのは大間違いです。
       一番安心は真空パック内に脱酸素剤も入れる様態。真空パック装置がなくても脱酸素剤を入れる。これがお勧めです。53℃で脱酸素剤なしにテストされたとしても、いつも同じカビがいるとは限りません。ちょっと実験的になりますが、乾燥物を一旦、土壌の土をまぶして接触させ、土をはらってから乾燥させる方法が考えられます。土壌には様々なカビがいます。こいつらをまぶして乾燥させたものを密封してカビが生えなければ、かなり有効な温度条件と言えます。これは極端な実験です(笑)。
       さてまとめです。53℃で12時間の乾燥で一般販売するのであれば、是非、脱酸素剤を入れてください。カビを完全死滅させる温度としては少々物足りない気がします。最終仕上げの温度だけを75〜80℃にすると、より安心です。その温度を提供できない場合には、脱酸素剤またはこれにシリカゲルを加えた様態で販売すべきかと思います。
       一気に書いた文章で誤字等ございましたら、ご容赦くださいませ(後ほど校正します)。以上、ご参考になりましたら幸いです。
       

      1. 早速丁寧なお答えありがとうごいます。
        75℃まで、できますので、最後を一応75℃でやってみます。
        今、バリ島在住でして脱酵素剤や、シリカゲルがあるかは分かりませんが、日本から、調達できるように手配してみます。
        真空パックだけでも、安心できないってことですね。
        ありがとうございます。

        1. 日本に美味しいドライフルーツをたくさん送ってください:)。シリカゲルや脱酸素剤の入手は通販でも可能かと思いますが、バリ島での事情がわかりません。表面に砂糖をまぶした食品もありますが、塩や砂糖をまぶすと表面では浸透圧が高くなり、生物が生存できなくなります。砂糖漬け、塩漬けはそういった防腐剤の役割をしていますので、ご参考まで。私に経験として、カビはアルコールに弱いです。アルコールを湿らした厚紙をパックした製品ものあります。お菓子のパックで実物を見たことがあります。アルコールによる防腐効果については、別の機会に記事を掲載しようと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

  3. はい、フルーツは安くって豊富ですからね。
    すいませんもう1つ。
    カリカリでなく、マンゴーなどは少し柔らかめのドライフルーツも、作りたいと思います。
    それにもシリカゲル酵素剤を、いれて真空パックなら、少しはもちますでしょうか?

    1. やはりマンゴのような厚みのあるものの製品化をお考えですね。日本国内では干し芋の天日干し製品が形状が近いかもしれません。日本では天日干しがまだまだ主流ですね。でも、ちょっと気になるのがハエなどの昆虫の存在(汗)。日光消毒しているし大丈夫!と農家さんは言いたいところでしょうが、天日干し現場はビニールハウスのような感じで風通しを良くしているので、虫さんはいます。ハエはヘリコバクター・ピロリ菌などの感染にも関わっています。日光消毒なんて私にとっては「おまじない」レベルです。干し芋はビニールハウスで全天候型で行なっているので、ビニールが紫外線をカットしています。直射日光なら納得しますが、ハエが沢山来そうですね(笑)。私が天日干し農家なら、最後に75〜80℃処理をしたいし、処理したことを明記して安心を買いたいです。
       時間をかけて干したものは表面と内部の水分が近似していますのであまりカビの発生は心配しませんが、食品乾燥機(フードドライヤー、ドライフルーツメーカー)で1昼夜程度で乾燥させた場合、内部の水分が多い場合があります。そんな場合はシリカゲルを入れるとすぐにピンク色になり、何のために入れたのかわかりません。乾燥直後は表面が乾燥していたのに、袋に入れていれて数日放置してみると、表面が湿っている場合も想定されます。製造されるマンゴの厚みは存じ上げませんが、5mm程度でしょうか。袋に数日入れてみて出してみても、表面が最初と同じように乾燥していたらカビのリスクも少ないと思います。
       乾燥剤については、シリカゲルはマイルドで、酸化カルシウムは強力で、酸化カルシウムは乾燥物の水分も強力に吸い取りますので、乾燥のりなどに向いています。シリカゲルの水分吸収量はシリカゲル重量の数割ですので、小さいものをたっぷりマンゴにいれても、マンゴのなかから水分が出てきて、すぐに飽和して効力を失います。シリカゲルは水分を吸いますが、高乾燥時には吸着した水分を放出する性質のものもあります。したがって、シリカゲルは少し大きめのものを入れると良いかと思います。水分をとりすぎないところがポイントです。
       製品を作るとなると、お客さんの想定外の保管環境も考える必要があります。冷蔵庫に入れたり、冷たいものと一緒に送って室温に戻したりと、想定外の保管が考えられます。例えばもし、冷蔵庫に入れて袋の表面に霜がつくなら内部の乾燥状態が不十分です。袋の内部に霜がつくと、そこからカビます。冷蔵庫にいれても霜がつかない程度の内部湿度が一つの指標になるのではないでしょうか。脱酸素剤も入れておくと、霜がついてもカビが生えない可能性が高くなります。普通、カビは酸素を必要とします。
       お菓子に入れる防カビ剤としては、「エタノール揮散性アルベール」というものがあります。おそらく、マンゴ乾燥物であれば、乾燥剤よりも防カビを目的とした、このようなエタノールを利用した防カビ剤が良いと思います。
      防カビを目的とした対処法を、ベストなものから並べてみます。
      1位)脱酸素剤+アルコール揮散性アルベール
      2位)アルベール+シリカゲル  この場合のシリカゲルは、過度な湿度を吸着する目的です。
      3位)アルベールのみ この場合は、しっかりと乾燥させてあることが前提で、シリカゲルを省いています。
      最後に一言、防カビのために75℃処理工程を入れるのであれば、この時は最終包装形態にしてから、口をあけて高温処理してください。最後に注意深く、火で炙ったピンセットでシリカゲルなどを中に入れ、すぐに密封してくださいね。袋ごと、カビやバクテリアを減弱させます。大気中にはたくさんカビの胞子があるので(日本では)、ヘパフィルターを通したきれいな空気が流れている環境で密封します。もちろん、干し芋生産農家は、ここまでしていないと思います。
      ようやく製品の完成ですね。日本で販売する場合、PL法の観点からは輸入業者が製品の全責任を負います(笑)。

      さーて、どんな美味しい乾燥マンゴが日本でお目にかかれるか楽しみです?!

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