選択肢を選んでいくと、買うべき食品乾燥機(フードドライヤー、ドライフルーツメーカー)の機種が決まります。しかし、静岡製機の食品乾燥機をベースに書いています。PRの意図はないのですが、このメーカーは国内の最大手です。農機具なども製造販売している企業で、農家さんには馴染み深いと思います。今回、静岡製機のもので例示しますが、他社製品でも同様の指標で同型品を選ぶと良いと思います。
質問1)家庭用の趣味で使いますか?業務用ですか?
指標1)家庭用なら電気式、業務用ならガス式も選択肢になります。ガス式は最高温度が電気式より高い製品が多く、また、製品によっては灯油が使える機種があります。業務用ならトータルコストを考えるとガス式ですが、室内への設置は危険が伴います。納屋などならOK。装置を室内にいれ、煙突を出して運用する場合、部屋のドアの開け閉めや風による室内外の差圧がガスバーナの吸気口に集まります。風が強い日に種火が消えることもあります。種火が消えるとガスがシャットアウトされ、朝気づくと止まっていたということもあります。この点、電気式は安心です。電気式は70〜75℃まで、ガス式はさらに高い温度で乾燥できます。したがって、カリカリ感はガスに軍配ありです。糖分が多い食材は温度が高い方が良いですが、庫内設定最高温度は70℃〜75℃で十分な場合がほとんどです。
質問2)乾燥対象物は糖分が多いですか?(芋や柿など)
指標2)まず、糖分が多い食材の乾燥には、高温まで設定できる乾燥機が推奨されます。70〜75℃以上が望ましいです。葉野菜などであれば、最高温度60℃の食品乾燥機でも大丈夫です。糖分が多い干し芋などの場合、カリカリにするのは天ぷら以外には無理です。あまり乾かしすぎるとゴムのように固くなり、食べられません。通常、乾燥芋は天日干しです。場所さえあれば天日干しが最もコスト安です。柿の場合も乾燥しすぎはゴムのようになりますので、それほど高い乾燥温度は必要としません。干し柿にのようになるには時間がかかります。食品乾燥機で作るとあんぽ柿のように、外はまあまあ乾燥していて、中心は柔らかいものができます。通常の干し柿のように丸ごと乾燥しようとすると、乾燥には時間がかかります。食品乾燥機では通常の干し柿のようなものをつくろうとすると比較的低温(50〜60℃)で数日かかります。1日で作ろうとするとかんぽ柿のようになります。糖分が多いものをカリカリに乾燥しようとすると、やはり高い温度が推奨されますが、70〜75℃であれば十分です。製品によっては最後に100℃以上のオーブンで最終乾燥工程を入れたりします。120℃くらいにするとかなり水分が飛びます。殺菌にもなりますので、最後に数分のオーブン焼き工程は業務用にお勧めです。最後は70℃以上、できれば80℃で数時間乾燥させると、バクテリアやカビがかなり死滅します。完全ではありません。しかし、販売するには脱酸素剤をいれておけばカビは生えません。乾燥剤を入れる場合、製品中にも水分がたくさん残っているので、量は多めに入れることをお勧めします。そうしないと、お客様が買う頃にはシリカゲルが赤っぽく変わってしまいます。
質問3)食品乾燥機のサイズは何かに影響する?
指標3)大きい方が電気代が安いです。数千円の食品乾燥機はドライヤーの付けっ放しと同じくらいの電気代がかかります。静岡製機の電気食品乾燥機の場合、小型のセミプロ仕様として6万円くらいのDSJ-miniという機種があります。これは設定最高温度は60℃ですが、1昼夜で80円くらいの電気代がかかります。これが大きくなるにつれて、1kgあたりの食材の乾燥にかかる電気代は3分の1くらいまでにはなります。また、200V仕様の方が安い地域もありますので、カタログを電気工事屋さんに見せて、100Vか200Vにしたら良いと思います。100V仕様はDSJ-3まで。通常の業務用は単相200V仕様です。棚が3段のDSJ-3、その上は棚が7段のDSJ-7がありますが、DSJ-7くらいになると、被乾燥物の単位重量当たりの電気代がかなり安くなります。DSJ-3とDSJ-7のどちらかで迷うくらいならDSJ-7と言いたいところですが、あくまで庫内に食材をいっぱいに並べた時の計算なので、DSJ-7で空きを作ってしまうなら、もったいないです。逆に食材の単位重量当たりの換算ではコスト高になります。1回当たり運転する電気代は、当然、大きい乾燥機の方が高いです。
質問4)どこのメーカーが良い?
指標4)最近驚くのは、アマゾンなので海外から送られてきた電気製品は国内法のPL法対象外となり、Amazonも海外メーカーも、どこも責任回避できるということです。通常、業として海外製品を輸入して日本国内で売る場合、日本の輸入商社が通産省?に電気製品の販売許可申請をしなければなりません。その時、各製品ごとに日本国内で検査する必要があり、火災事故などの場合には国内の輸入販売業社に責任が課せられます。ということで、通販で購入する場合、製品保証を国内できちんと行えるのか、また、PL法での責任所在は販売店にあるかを確認しないといけません。無届け販売の多さには驚きます。ということで、ユニュ品の場合には、国内商社で見極めてください。廉価品は全てプラスチック製で、万一、ヒーターの安全装置が壊れて発火すると、プラスチックが可燃性なので、すぐに火災に結びつきます。そういう意味で、食品乾燥機の外側は金属であること、これをお勧めしたいです。というものの、そんな高いものを買えない方は、夜間運転、無人運転は絶対に避けるべき。乳幼児がいるところでの運転も怖いです。雨がかからないバルコニーなら安全ですかね。そういう意味でいうと、静岡製機のDSJ-miniも樹脂製です。DSJ-3から外側が金属になります。いずれにしても、ドライヤーが室内で働くわけですから、夏場に室内運転は非現実的です。エアコン代と合わせて電気代は3倍くらいになることでしょう。バルコニーや納屋が現実的でしょうか。ニンニクなんかは言うまでもなく室内で乾燥できませんよね(笑)。ジャーキーは皆さん、室内で作られているようです。話は飛びましたが、国内メーカー品をお勧めしたいと思います。静岡製機の場合、全国に支店があるので、通販で買ったとしても、修理依頼は地元エリアの静岡製機の支店送りとなります。農機具メーカーなので、全国に支店があります。その他のメーカーでは、メーカーから遠い場合はどおしても、一度送らないといけないのですが、電気式の場合には、故障は少ないです。ガス式では、定期的なバーナーの掃除が必要です。ガス式の場合は販売店が通常、メンテナンスします。
質問4)後でスケールアップしやすい機種は?
指標4)ズバリ、静岡製機の場合ならDSJ-3。これなら条件をそのまま上位機種で利用できます。DSJ-miniは、本格プロ仕様の上位機種とはかなり異なります。後々のスケールアップの事も考えると、目安は10万円当たりの機種です。
質問5)温度が高けりゃ乾燥も早いのでは?
指標5)違います。柿を例にとれば、温度が高いと外側が先に乾燥し、中の水分が逃げにくくなる、すなわち、最初に温度を上げてしまうと、逆に乾燥時間が長くなりことがあります。内部の水分を少しづつ外に呼びこんで乾かしていくことが必要です。それゆえ、上位機種では庫内の湿度をある程度保ったまま乾燥させます。廉価版は庫内の気流循環がないものがほとんどですが、DSJ-miniなどの機種では、内部の空気をどれだけ外部に廃棄するかを調節できます。これが重要です。廉価版はこれがないので、乾燥ムラが発生します。トレーの中心は冠しているけど、ヘリの方は乾燥があまいとか。このあたりがセミプロ仕様から変わってきます。中の水分を出やすくするため、最初は40℃からスタートし、50℃、60℃と温度を上げて乾燥していきます。
少しは機種選定の参考になったでしょうか。後日、この記事に追記するかもしれません。今回はこの辺りで失礼いたします。