乾燥スタートから最後までの温度設定。プロはどのようにしているの?

【野菜の乾燥の場合】

乾燥時間は8~14時間を目安にします。プロは夜仕込んで朝に上げるサイクルで、これを繰り返しています。収穫がおわったら本日仕込み分の加工です。

【重要】

果実は特に乾燥から守るために乾燥しにくくなっています。したがって、外皮を除去するか、スライする事が重要です。ぶどうをそのまま乾燥する場合、かなり時間がかかります。最初から温度を上げて無理に乾かそうとすると、食物は枯れた後、腐りますが、なんかちょっと傷んだ風味にもなります。ぶどうなどの場合には外皮に酵母がついています。これを最初に不活化するとぶどうは傷み難くなります。しかし、酵母は熱に極めて強いため、最初にぶどうの房ごとお湯に入れたり、最初だけ高温にしても死滅しません。どちらかと言うと酵母を働かせないようにしつつ乾燥したいところです。冷蔵庫で乾燥した製品もありますが、熱を掛けていないので、傷んだ感じが全くしないと思います(想像)。本当はぶどうを包丁で一つずつ輪切りにして低温から乾燥するのが良いですが、いちいち包丁など入れられない場合には、ちょっとした工夫が必要かもしれません。りんごは皮をむいても輪切りでも良いでしょう。

【糖分が多い植物の場合】

ぶどうもそうですが、糖分が多いとカリカリにまで乾燥する事が難しです。乾燥芋を食べたことがある方はご存知と思いますが、80℃で乾燥してもあの程度の硬さにしかなりません。もちろん、数日かけると固くなりますが、カリカリではなく、もう、ゴムのようになります(笑)。

【温度設定】

一般的に最初は40~50℃くらいからスタートし、その後50~60℃に上げます。もっと温度が上がる乾燥機なら、最後の1~2時間を最高温度で乾燥させます。

【乾燥肉、ジャーキー場合】

肉は油を多く含んているので、お肉の部分のみが乾燥する事になります。サラミソーセージやビーフジャーキーの製造において、温度の設定で味が変わります。これは細胞が壊れる時に細胞中の核酸が酵素で壊れる時に旨味成分となります。この酵素は高温にすると失活してしまいます。肉は寝かせたほうがうまい理由は、この旨味成分の生成にポイントがあります。これはもう、試していただきましょう。最初は低温からの出発ですが、肉の場合、細菌汚染が問題になるので、食中毒菌やその他のバクテリアの増殖には十分に注意して下さい。乾燥前に表面をお湯で殺菌するのもよいと思います。または最初から60℃以上で乾燥させる可です。

今回はここまでで失礼致します。

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カリカリ

食品乾燥に携わってはや9年。数十年に渡るバイオ研究の経験も活かしたご紹介をしたいと思います。

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