肉の低温熟成乾燥の難しさ〜食品乾燥と食中毒菌対策 食品乾燥機.com

植物はその細胞内液体の中に様々な抗菌の仕組み、動物で言う免疫の仕組みがあるので、例えば大木の幹に切りつけても、そこから腐っていく事は先ずありません。植物中の樹液にはこうした抗菌作用があるものもあり、細菌繁殖がし難いメカニズムが存在しています。したがって、乾きも早い野菜の乾燥では、低温乾燥で細菌が繁殖する事もそうそうありません。一度加熱して、植物が本来持っている抗菌作用が崩されたとしても、乾燥しやすい葉菜では細菌繁殖は起きる間もありません。乾燥芋では通常、天日干しで生産されていましたので、日光による殺菌作用で細菌増殖が抑えられています。通常、糖分は細菌のとても良い餌となります。

一方、乾燥芋(干し芋)を食品乾燥機で乾燥させる場合には、通常、高温域の処理工程を入れていますので、細菌も増殖しにくく、その間に乾燥してしまいます。最近は植物や蒸した芋の内部にはいません。カットした時に切断面につきます。これを増やさないようにして乾燥させるには、まずは最初に70℃〜80℃で有害バクテリアを弱体化させ、その後温度を下げてじっくり乾燥させたり、最後にこの高温域で仕上げることが望ましい製造方法です。とにかく細菌繁殖には水分が必要で、これが少なければ増殖しにくいです。また、浸透圧が高くても増殖できないので、糖分が高いジャムや塩辛などではバクテリアもなかなか増殖できません。

ところで今回の本題、お肉の乾燥です。生肉には最初から食中毒菌が付着していると考えて対処しなくてはなりません。加熱耐性毒素を放出する黄色ブドウ球菌では、繁殖したあとに加熱しても無意味で、食中毒になってしまいますので、十分な注意が必要です。

美味しいお肉料理を作るあるお店では、お肉を冷蔵庫で数ヶ月間低温熟成した肉を使って料理を作っています。冷蔵庫、それも2℃くらいなら細菌は繁殖しにくい環境です。この温度では凍っていませんので、細胞は徐々に崩れ、細胞内のタンパク分解酵素群が徐々に働き出し、旨み成分のアミノ酸を生成したり、核酸分解酵素は細胞内のRNAやDNAを分解し、核酸(ヌクレオチド)に分解し、またそれがさらに分解したり、他の成分と反応し、旨み成分となるものがあります。

では、細胞は常温で壊したらもっと早く旨み成分ができるのでは?と思われるかもしれません。まさしくその通りですが、どの温度で最も美味しいかは、試行錯誤が必要でしょう。そこで問題なのが、常温域で乾燥する場合の食中毒対策です。市場では常温域の低温乾燥で肉の旨みを出すことを狙った乾燥機が販売されています。また、素人のレシピでこのような感想法を提示しているものもあります。しかし、素人レシピサイトの問題は、こうした食中毒対策が甘いこと。食チュドクになっても誰も責任が問われません。最近ではレシピサイトでの問題もあり、社会問題にもなりましたね。気をつけて下さい。またここで言っておきたいのは、真空にしたらバクテリアが繁殖しないと信じている人が世の中に多いことです。世間でいう真空というレベルは、袋の中に空気が入っていない程度。これは脱気レベルで、真空ではありません。本当に真空にしたらバクテリアは繁殖できませんが、少々の酸素があれば(建機的条件下)、その条件を好んで繁殖するバクテリアがあることを覚えておいてください。その他代表が、真空パックした辛子レンコン中毒で死者まででた、ボツリヌス菌食中毒です。こいつは酸素が少ないところを好む菌です。真空パック装置で脱気したレベルでは酸素を好む好気性菌が繁殖できない分、嫌気性菌の独壇場となります。

例えば歯周病菌は酸素にあまり強くない菌で、血液を栄養として好みます。したがってこいつは歯茎をわざと炎症させて血液をもらい、なおかつ酸素暴露が少ない歯周ポケットで隠れて増殖しているのです。

このように、空気が少なくても増殖できる菌が環境にはうじゃうじゃいますので、『真空パックくらいで安心しないで』ください。冷蔵庫の真空チルドも全くバクテリア繁殖防止にはなりません。先日、アサリを買ってきて2日間、真空チルドにいれていましたところ、なんと塩水に戻すと半分くらい生きていました。大急ぎで呼吸していました(笑)。でも、可哀想。

ところで、お肉を低温20℃〜45℃くらいで乾燥する場合、一旦、殺菌する必要があります。例えば、高温蒸気による表面処理、アルコールによる表面処理、短時間塩漬けなど。決して、生肉を低温乾燥してそのまま食べないように気をつけて下さい。生で食べる馬肉であっても、そのままなら有害なバクテリアが付いていたとしても少ないなら食中毒は発症しません。生卵の中にも食中毒菌であるサルモネラ菌が数匹いることがありますが、通常、冷蔵庫で保管するので細菌繁殖せず、発症しません。白身の中にはリゾチームが含まれ、さらにアルカリ性なので到底、細菌は増殖できませんが、黄身の部で繁殖します。生卵の室温長期保管もリスクがあるので避けましょう。

肉は特にバクテリアが好むもの。血液も大好きです。プロの生産場では、このように食中毒菌の繁殖を防ぎつつ、安全に加工しています。素人投稿サイトのレシピはこう言った安全知識がないまま紹介されているものもあります。是非とも、料理を作る人が自分自身で安全性を評価・判断して作るようにしたいものです。

重ねてお伝えしておきます。

・最近が増殖後に熱処理しても食中毒の危険性がある。

・家庭用真空パックごときでは細菌は部で繁殖できる。

以上です。ご参考になりましたら幸いです。

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カリカリ
食品乾燥に携わってはや七年。数十年に渡るバイオ研究の経験も活かしたご紹介をしたいと思います。